人間には「排泄・消化・吸収」と一日の中でリズムがある
人間には太古の昔から身体に刻まれている生理的リズムがある。それは、一日24時間を三つに分けて、それぞれ「排泄・消化・吸収」の時間とする生理的リズムである。
・午前4時~正午までが「排泄」の時間。寝汗、尿、便、くしゃみ、鼻水など不必要なものを体外に出す時間。
・正午~午後8時までは「栄養補給と消化」の時間。
・午後8時から翌4時は代謝の時間で、消化したものを身体の栄養として吸収し、弱った部分を修復したりして、健康を維持する時間。
昔の人はそのことを経験則として知っていたのだろう。だから、古の昔から、排泄の時間帯に朝食という食事をしなかったのではないか。排泄の時間帯に、朝食をしっかりと摂ると、健康維持に欠かせない酵素が十分に働かないので、消化不良を起こしてしまう。胃や腸といった消化器も目覚めておらず、身体の活動に大きく関わる酵素もお休みモードなのである。
それに、そもそも昨晩から睡眠をとっただけで何も生産的な活動もしてなく、代謝以外のカロリー消費はしていないので、食事を摂る必要性がない。食事を摂らないと力が出ないと思うのは単なる思い込みでしかないのではないか。書物によれば、少し古いが、力道山も白鳳も、試合前には断食して存分に力を発揮している。食事を大量に摂り、試合に臨むプロスポーツ選手はいない。逆に空腹のときにこそ力はみなぎるのである。
また、「代謝と吸収」の時間帯である、夜8時以降に体は吸収モードにシフトチェンジしているので、この時間帯に飲んだり、食べたり、つまり食事をすると、やはり十分に消化しないので消化不良になり、翌朝下痢をしたり、脂肪として蓄えられてしまったりすることになってしまう。つまり「太る」のである。夜8時のリミットは生活習慣上難しい人は、「寝る三時間前までには食事は終える」と意識するのもいい。
飲んだ人は〆の一杯として、ラーメンを深夜に食べてタクシーに乗って帰宅することが往々にして見られるが、あれほど体のメカニズムに反することはなく、実に体に悪いことなのだ。日本人男性は女性より寿命が7年短いが、飲み会での深酒と深夜の食事が、内臓疾患を招き短命にする原因の一つになっているのではないか。それでも、世のオヤジ達はあの〆の一杯のラーメンの誘惑には勝てないことだろう。
何で、食事の席で散々食べているにも関わらず、空腹感があるのかというと、どか食いをしたり、酒を大量に飲むと、糖質を大量に摂取してしまい、体はその反応として血糖値下げるためにインスリンを分泌し、血糖値を下げる働きをするのだが、しかしあまりにも糖質の多い食事をすると、消化吸収が終わっていない段階で血糖値が乱高下してしまい、空腹を感じさせるようになる。
つまり満腹中枢に異常をきたしてしまい、沢山食べたにも関わらず、何故か空腹感があり、〆のラーメンを欲するようになっているのである。空腹感があるのは食べ過ぎに原因がある、というパラドックスがある。もうこの段階は酔っ払いには理性がなくなっているので、正常な判断は出来ないことだろうが、そこで踏みとどまってその日食べた食事の量を思い出してもらいたい。恐ろしいほど食べているはずである。そこで踏みとどまることで理性を呼び起こし、これ以上食べる必要など何もないと判断ができ、自分の体を防衛することになる。
また、ホテルの朝食ビュッフェの会場に、ご丁寧に「朝カレー」なるものが置いてあり、日本人はカレー好きなので、食欲をそそりついつい手が伸び、朝からガッツリカレーの大盛を食べている御仁を見かけるが、ご愁傷様としか言いようがない。排泄の時間帯に、大食しては消化不良となり、結果的に血液を汚してしまうことになっている。知らぬという事は本当に恐ろしいことだ。
確かに英国でも朝食を摂る習慣はあるが、少々のクッキーと紅茶程度であり、朝食の食事量は非常に少なく、英国人も朝食を摂りすぎると体に悪いことを伝統的に知っているのだろう。
少し前に、突然死をされた世界的免疫学者である新潟大学教授・安倍徹氏と、数年前の夏、温泉旅館で一緒に食事をしながら一杯飲んだことがあるという知人が言っていたことだが「夏だというのに、身体を冷やすという理由で、氷を入れずに焼酎の水割りは飲むは、しまいには夏なのにお湯割りにして飲んでおられた。冷えが免疫機能を低下させることを熟知している大先生の飲み方は一般人と違っていた」という、さすがである。
冷えは大敵であるということも、心したいと思った。
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